久松くんは華ちゃんのことを妹のように思っているのかもしれないけど、私はそれだけじゃない気がする。
2人ともじれったいなぁ…。これは、久松くんが天然だからかな?
『あっ、もうすぐ時間!』
「えっ、もう?」
華ちゃんの声につられて体育館の時計に目を見ると、時計の針は2時20分を指していた。
選手の点呼まであと10分。
『私も宏太に負けてられないわ!』
「ふふっ、頑張ろうね。」
ガッツして気合を入れて体育館から去っていく華ちゃんの後ろについていく私。
私達はなんだかんだで勝利を納め、気付けば準決勝の位置まで上り詰めていた。
おかげでクラスメイト達は優勝だ!優勝だ!と早くもお祭り気分だ。まだ準決勝で、決勝に出れるかもわからないのに。
こんなに周りから期待されるとは思ってもいなくて、少なからずプレッシャーを感じてる。
『雛乃、一つ一つ勝っていこ。』
「……うん。」
私の無言の緊張は、隣を歩く華ちゃんにも伝わっていたらしく、優しい言葉をかけてくれた。
なんでもお見通しなんだよなぁ、華ちゃんには。
華ちゃんのおかげで、少し心が軽くなったような気がした。

