「高遠くんはどうしてここに?」


私には眩しすぎる笑顔を見せる高遠くんに、読書のイメージは湧かない。

読書してても寝てそう…授業の時みたいに。

2日に一回は授業中に寝ているのを先生に見つかって怒られている高遠くん。

皆よりも大きいから余計目立つんだと思うけど、大概の授業で寝ている高遠くんに最早何も言わずにスルーしている先生もいる。


『小日向、知らない?…俺、図書委員。』

「えっ…!?」


高遠くんの意外な新情報を聞いて驚いて高遠くんを見上げる私に、高遠くんは苦笑いを返してくれた。

今日はいないと思ってた図書委員の人って…高遠くんだったんだ。


「でも、カウンターに誰もいなかったし…、」

『返却口に溜まってた本をしまってたんだ。』


あ、そうなんだ…。

全てに納得がいった私は、瞬きをしながら頷いた時、図書室の扉が開いて女生徒が入ってきた。

その人はよく図書室で見かける女の子。きっと私以上に本が好きなんだと思う。


「あの、この本借りたいから、手続き…してくれる?」

『、あぁ。いいよ。』


私たちには目もくれずに本棚に行ってしまった女の子をチラ見しつつ、私は貸し出しの手続きをしてくれると言う高遠くんと一緒にカウンターに向かった。

……あの子が来るまで、私たち2人きりだった、ってことだよね…?

無条件に赤くなる頬を高遠くんに見られないように、そっと本を口元に近づけた。