「…なんか、2人とも様子がおかしかったね…?」
あまりにもそそくさと部屋から出て行った華ちゃんと久松くん。
ご丁寧にさっき注いだばかりのコップまで持って行ったみたいだ。
『ま、まぁ…勉強しようとしてるから、それはそれでいいんじゃないか?』
「そ、そうだね。」
残された私と高遠くんは、お互い苦笑いをこぼした。
なんだか変なの。
英語のテキストを出した高遠くんを見て、私も勉強しようと英語のテキストを出す。
『あ、小日向も今から英語すんの?』
「うん。実は、まだ手を付けてなくて…やっとかないとヤバいから。」
『俺もー。英語苦手でさ。ギリギリにならないと手付ける気にもならないっていうか。』
あ、英語苦手なんだ。高遠くんの意外な一面発見。
テキストを開いて真剣に問題と向き合いはじめる高遠くんを横に、いつも眠そうに授業を受けている高遠くんを思い出して、ちょっと笑えちゃうけど、真剣な表情をしている目の前の高遠くんにちょっと胸の奥がきゅん…っと反応した。
午後、高遠くんと2人きりで勉強を始めて時間が過ぎ、中々動かないシャーペンと難しい問題を目の前に、お昼に満腹中枢も刺激されていた私は、ゆっくりと瞼を閉じた――。

