身長差43センチのふたり。




――パタンっ


「もう、お兄ちゃん!何であんなん見せると!?」

『ゴメンって。どうしてもって頼まれると断れんくてさ。』


顔の前で手を合わせて、ゴメンと謝るお兄ちゃんを目の前に、やっと私の頭は冷えていく。

もう…本当にお人好しなんだから。

面倒見の良いお兄ちゃんは、昔から誰かの頼み事にNOとは言えない性格だった。

人が良すぎるというか、優柔不断というか。


「はぁ…。全く。お皿は私が洗うけん、お兄ちゃんはゆっくりしとき?」

『うん、そうやな。じゃ、勉強頑張れよ。』

「うん。」


私の頭を軽く撫でたお兄ちゃんは、リビングに行ってテレビをつけた。

いいなー、私もテレビ見たい。

何故かテスト期間中に高まる欲望を押さえて、私はキッチンに向かった。

流し台にお皿を置いて、蛇口をひねり、テキパキと皿洗いを終わらせた。