――パタンっ
「もう、お兄ちゃん!何であんなん見せると!?」
『ゴメンって。どうしてもって頼まれると断れんくてさ。』
顔の前で手を合わせて、ゴメンと謝るお兄ちゃんを目の前に、やっと私の頭は冷えていく。
もう…本当にお人好しなんだから。
面倒見の良いお兄ちゃんは、昔から誰かの頼み事にNOとは言えない性格だった。
人が良すぎるというか、優柔不断というか。
「はぁ…。全く。お皿は私が洗うけん、お兄ちゃんはゆっくりしとき?」
『うん、そうやな。じゃ、勉強頑張れよ。』
「うん。」
私の頭を軽く撫でたお兄ちゃんは、リビングに行ってテレビをつけた。
いいなー、私もテレビ見たい。
何故かテスト期間中に高まる欲望を押さえて、私はキッチンに向かった。
流し台にお皿を置いて、蛇口をひねり、テキパキと皿洗いを終わらせた。

