「…リビングで食べたらいいやん。」
『だって、母さんが今から出かけるっていうし。』
「え?どこ行くん?」
今日は一日、家で休むと思っていただけに驚いてお母さんに尋ねると、ちょっとショッピングに行くと返された。
『一人で食べるのも寂しいし、よかろ?』
「私はいいけど…――」
『どうぞどうぞ、お兄さんはこちらに!』
皆はお兄ちゃんがいたらリラックスできないんじゃ、と思っていると、後ろにいた華ちゃんがお兄ちゃんを手招きした。
『あっ、いいと?ありがとー。』
「お兄ちゃっ――んもうっ」
私の制止も聞かず、お兄ちゃんは華ちゃんが招いた手に導かれるように華ちゃんの隣へ。
はぁ、と溜め息をついていると、お母さんから後はよろしくね、と言われ、部屋のドアは閉ざされた。
私はこの収拾のつかない状況に抗うのを諦め、勉強会から定位置になった高遠くんの隣に腰を落とした。

