「……それより華ちゃん、早く食べないと、時間無くなっちゃうよ?先生に呼び出されてるんでしょ?」
『あっ、ヤバ!』
これ以上この話はしたくなくて、今日の朝華ちゃんが昼休みの呼び出しを愚痴っていたことを思い出して、話を逸らせる。
食堂の時計を見た華ちゃんは、掻き込むようにお弁当を食べていた。
『もう、最悪。補習なんてしたくないよー…。』
ご飯を食べ終えた私達は、職員室に向かっていた。
華ちゃんが先生に呼び出されたのは、この前の小テストの点数が悪くて補習を受けることになってしまい、その補習で使うプリントを受け取るため。
私も1週間後に控えている定期テストのために、その補習プリントをもらうため、華ちゃんについて行っているのだ。
私は小テストギリギリ合格だったから。
『雛乃は真面目だよねー…。』
「でも、要領が悪いから、あんまり意味はないけどね。」
補習のことを考えて落ち込んでいる華ちゃんに、私は苦笑いをこぼす。
華ちゃんの小テストがあると分かっているのにノー勉で挑むという勇気の方が凄いと思った。