嬉しい。

千尋とまた同じクラスになったことでさえ嬉しいのに、千尋がお隣さんなんて。


『今年もよろしく。』

「こっ、こちらこそ…っ!」


初めて言葉を交わした時と変わらない柔らかな千尋の笑顔に、心の奥がキュンとした。

――またドキドキな学校生活が始まりそうです。


過去にトラウマを抱えてもう恋はしないと思っていた私が恋に落ちたのは、苦手だと思っていた高身長の彼だった。


誰からも頼りにされてて、優しくて、しっかりしてて。

でも…授業中はほとんど寝てて、ちょっぴり鈍感なとこもあって、ボーっとしてることが多いけど。


私にしか見せない彼の表情はすごく新鮮で、格好良くて、男らしくて。

一生、彼の隣にいたいなと切に願った。


教室から見える桜の木がひとひら、ひとひらと桜の花弁を舞わせるたびに、私の心はピンク色に色づいていく。

あの時、千尋に話しかけてよかった。

あの時、千尋への想いに気付けてよかった。

あの時、千尋に想いを打ち明けてよかった。

今まで千尋と過ごした一瞬一瞬が大切な大切な思い出になって私の心に残っている。

千尋と出会えて――良かった。