アニメ見ながら寝てたんだよ、と言いながら眼をこすっている千尋くんに近寄る。
「眠たい?」
『ん…。』
眠気眼の千尋くんはなんだか大きな子供みたいで。
可愛らしく思えてしまって母性本能が燻られてしまう。
「寝てていいよ?私…帰ったほうがいいよね?」
もうすぐ3時。そろそろ千尋くんのご家族が帰ってくるかもしれないし。
そう思って簡易テーブルに置いてあった空のコップと空のペットボトルをお盆の上に載せていると、千尋くんに腕を掴まれてしまった。
「ち、千尋くん…?」
『まだ、』
「へっ?」
寝起きとは思えない強い力でぐいっと千尋くんに引き寄せられた。
まだって、何が?
『雛乃は帰っちゃダメ。』
「……っ、」
千尋くんの隣に強制的に座らせられた私の太ももに乗っかった千尋くんの頭。
『4時になったら起こして?』
「っ……わ、分かった…」
させられるままに千尋くんに膝枕をしてあげる形になった私は、スッと瞳を閉じて眠りに着いてしまう千尋くんを見下げるしかなかった。