「久松くんの部屋で過ごすって…いったい何するの?」

『え?…そこ言わせるわけ?』


――…?

お家デートなんてしたことのない私には未知の領域で、いったいどんな感じなのだろうと、興味本位で聞いただけなのに、華ちゃんはとたんに顔を赤く染めた。

予想ではゲームとかDVDを観て過ごすのかと思っていたのだけど、この華ちゃんの反応を見てそれは違うと確信した。


『あーもう!雛乃って鈍すぎ!』

「へ?」


私と華ちゃんしかいない教室には、華ちゃんの荒げた声はよく響く。

そんな大声で言わなくたって聞こえるのに。

それに、なんでそんなに私をにらむの?と首を傾げずにはいられない。

ちょっと耳貸して!と右耳を引っ張られて、華ちゃんの方に顔を寄せると、さっきと打って変わって華ちゃんの小さな声が私の鼓膜を叩く。


『えっちに決まってんでしょ…っ!?』

「ッ!?」


驚きのあまり声が出ないとはこのことだと身をもって感じた。

えっちって……えっちって…っっ!!