早速ラッピングを解いて、チョコを手に取った千尋くん。

その目はとても嬉しそうで、見ているこっちまで幸せな気分になる。

どうかな、美味しいかな?

ココアパウダーが降りかかった生チョコを口に入れる様子が、スローモーションに見えた。


『っ……!』

「どう…?美味しい…?」

『に、苦いんだけど…っ!』

「えっ!?」


生チョコを口に含んだ千尋くんは、まるで苦虫を食い潰したように顔を歪ませた。

そんなはずないと千尋くんの持っている袋からチョコを取り出した私は、パクッとその生チョコを食べてみる。


「…っにがー…っ」


2人して生チョコの苦さに悶える。

この苦さ…もしかして…っ!

脳裏によぎったのは、華ちゃんのチョコ。

私が用意したチョコと華ちゃんの用意したものは、見た目が見分けもつかないくらいに瓜二つのものだった。

もしかしたら…間違って華ちゃんが作った激苦生チョコを渡しちゃった…?