"私は傍にいればいい"なんて、これ以上最高の言葉なんてない――。

嬉しすぎて涙を流していると、千尋くんに"また泣くー"と笑って涙を拭ってもらった。


『これからは、俺のいないところで泣くなよ。』

「…っ?」

『雛乃の涙は全部、俺が拭ってやる。だから…、雛乃が泣くのは俺の腕の中にいるときだけ、な?』

「っ……うん…っ」


千尋くんの甘い言葉に、心が淡くピンク色に色づいていく。

私に涙を拭うためのハンカチはいらないみたい。

だって…、私の涙は千尋くんのその大きな手が拭ってくれるから。…千尋くんの腕の中が唯一、私の涙を止められる場所なのかもしれないと思った。


「千尋くん、」


ようやく千尋くんに差し出すことのできたチョコ。


「…千尋くんのために作ったの。受け取ってくれる…?」

『――当たり前だろ。』


ピンク色にラッピングされたチョコを受け取った千尋くんは、ちょっと照れたようにハニかんで、サンキュと私の頭を撫でてくれた。