「島津さんに告白…されたよね?」
『え?あー…うん。』
島津さんのことを切り出すと、千尋くんの後ろに見えていたフリフリと振られていたしっぽが垂れていく。
まるでお預けを食らっている犬のようだ。
『断るに決まってんじゃん。俺には雛乃がいるし。雛乃しかいらないし?』
だからちょうだい、と千尋くんの期待のまなざしが私に向けられる。
でも、私は手に持っているそれを千尋くんには差し出せずにいた。
『雛乃…怒ってるの?』
「おっ、怒ってないもん…っ!」
『じゃあ…島津にヤキモチ?』
……っ
顔に全身の熱が集まって火が噴きそうなくらい熱くなる。
千尋くんへの不安な気持ちは、この切ない気持ちは、千尋くんがモテると思い知らされて…、嫉妬――してたんだと、千尋くんに言われて初めて分かった。

