『――いつまでそこにいるつもり?』
「っ!?ちっ、ちひろく――ッ!?」
目の前で過ぎていった出来事に着いていけずに突っ立っていると、ガラリと教室のドアがまた開いて、そこから顔を覗かせた千尋くんにさらに驚いた。
えっ、何で私がここにいるって分かったの!?
私を見つけた千尋くんは、慌てている私の手を掴んで教室の中に私を連れ込んだ。
『盗み聞きなんて悪い子。』
「っ……ちっ、違うよ!?確かにずっとあそこにいたけど、千尋くん達の会話は聞いてないもん…!」
千尋くんの手で閉じられたドアの近くで、私はいたずらっ子の顔をした千尋くんと教室の壁に挟まれていた。
ちょっと…っ、千尋くんの顔が近いんですけど…ッ!?
思わぬ千尋くんとの至近距離に、全く心の準備ができていない私は顔を赤らめるしかない。
『ふーん…?』
「っ、本当だよ!?」
信じて!という思いで千尋くんを見上げると、トンっと私の顔の横に千尋くんの大きな手が置かれた。

