――島津さんが千尋くんのいる教室に入って数分が経った。
まだかなぁ…。
閉ざされたドア越しに2人の会話は聞こえないから、今2人がどんな話をしているのか全く分からなくて不安になる。
盗み聞きとかよくないし…、盗み見したいけど、ドアの窓の位置が高くて見えないし…。
何もできない私は、島津さんが出てくるのをじっとドアの傍で待ってることだけだ。
千尋くん…、島津さんの告白にどんな返事を返すんだろう…。
千尋くんのこと、信じててもいいんだよね?と不安を隠せずにいると、教室のドアがガラリと開いた。
っ…!
出てきたのは島津さん。
島津さんの赤い目とバッチリと目が合ってしまう。
どうだったんだろう。
気になるけど何て聞けばいいのか言葉が見つからない私に対して、島津さんが薄い唇を開いた。
『…ごめんなさい。』
「…えっ……?」
今にも消え入りそうな小さな声に、私は下げていた視線を島津さんの方へ向けた。
今…島津さんが謝ってくれた…?

