「自分が悪いって思ってるんだったら、これまでのことも、島津さんの気持ちも、千尋くんに話してください。」
有耶無耶のままになんてさせない。
千尋くんが不必要に島津さんを責め立てないためにも、全てをここで終わらせるべきだと思った。
「…これ、千尋くんに渡すために作ったんでしょう…?」
『ッ――!』
差し出したチョコ。
可愛らしくラッピングされたそのチョコは、島津さんが気持ちを込めて作ったんだろうことが容易に想像できる。
千尋くんのことを想って作ったなら、本人に渡さないと。
「……行ってください。」
『っ』
「後悔しないように…。今度は正々堂々と勝負しましょう?」
こればっかりは千尋くんの気持ち次第だから、どっちが勝つなんてわからない。
でも……、島津さんの何かを決心したような瞳を見て、この人が私の恋のライバルでよかったなって思った。
彼女がいなかったらきっと、私は大切な人が傍にいるという幸せを感じることはできなかった。
私からチョコを受け取った島津さんは、濡れた頬を袖で拭って、千尋くんのいる教室の中に入っていった、

