『…っ、本当、むかつく…!!』
「ッ」
眉間にしわを寄せる島津さんはこの前より少し切なそうな表情を見せた。
あぁ、また私はこの人に罵られるのかな…。
ふとそんな考えが頭によぎった時だった。
『何で…っ、何で仲直りしちゃってんのよっ』
「……っ」
『馬鹿みたいに期待して、こんなもの作って…っ!本当に私…っ、バカみたい…っっ!』
「っ!」
パシッと私に投げられた島津さんのチョコ。
そのチョコは私の身体にあたると、廊下に力なく落ちていった。
床に落とされたチョコはなんだか可哀想に見えて。
『あんな泥だらけのお守り、あんな嬉しそうに見つめちゃって…っ』
島津さんの立っている位置から教室にいる千尋くんが見えるのか、ツツー…と透明な涙が白い頬を伝っていった。
島津さんが…泣いてる…?
『アンタも高遠も…私も…っ、むかつく…!』
島津さんの大きな瞳から零れる涙を、不覚にも美しいと思ってしまった。

