華ちゃん、頑張って…!
見えなくなった2人の姿を想像しながら、どうか華ちゃんの想いが久松くんに伝わりますようにと願った。
『――雛乃。』
「っ!?」
背後からかかった声に私の身体はビックリして跳ね上がった。
『ご、ゴメン。そんな驚かせた…?』
「いっ、いや…!大丈夫…っ!」
ひょっこりと私の方に顔を見せた千尋くんに、私の心臓はドキドキのボルテージを上げていく。
やばい…っ!華ちゃんの応援なんてしてる場合じゃなかった…!
カバンの中には、まだ千尋くんに渡せていない生チョコ。
本当にいつ渡そう…っ?
『帰ろ?』
「う、うん…!あ、でも…先にお手洗い行ってきてもいい…?」
とりあえず落ち着かなきゃ。
このままじゃチョコが渡せないと思った私は、いいよと言ってくれた千尋くんに背を向けて、お手洗いに走った。

