――次の日。
バレンタインデー当日。
『どうしよう、雛乃…!もう学校終わっちゃった…!』
私も華ちゃんもチョコを渡せないまま迎えてしまった放課後。
渡すタイミングを完全に見失った、と華ちゃんはもう涙目になってる。
「これはもう帰り道に渡すしかないよ!」
『えっ』
「あ!ほら、久松くん帰っちゃうよ…っ!」
『ッ!』
2人で焦ってる場合じゃない。
1人で帰ろうとしている久松くんを追いかけるようにと、私は華ちゃんの背中を押した。
「頑張って!」
『…っ、うん!頑張ってくる…!』
渡す決意をしたゆるぎない瞳を私に向けた華ちゃんは、教室を出ていく久松くんを追いかけていった。

