「今年は食べるの手伝わんけんね。」
『え~…それは困るっちゃけどなぁ。』
相変わらずほのぼのとした返事をしたお兄ちゃんは部屋にこもってしまった。
あまりチョコの匂いが漂ってるこの空間にいたくないんだろう。
『雛乃のお兄さんってモテるのねー!』
「うーん…。お兄ちゃんは天然の人たらしだからね。」
何人の女の人が天然なお兄ちゃんに玉砕していったのか、考えただけで恐ろしい。
チョコを食べている私とお母さんはお兄ちゃんがもらってくるチョコは全て本命のものだって分かるんだけど、そもそも食べないお兄ちゃんはそのことにさえ気付いてないし。
『確かに分かるかも。雛乃のお兄さんって優しいし、面倒見もいいし、頼りになるし!あの顔で微笑まれたら落ちるわ~!』
「でしょ?でも、本人は全く分かってないからさー、質が悪いの。」
あれで女心分かってくれればいいんだけど…。ま、そんなことあのお兄ちゃんに求めても無駄か。
『お兄さんの彼女になったら大変そう。』
「…確かに。」
華ちゃんの一言に、私は激しく同意したのだった。

