「あり、がと…っ」
『いーえ。』
ドキドキしすぎて、千尋くんの方を向けない。
きっと私、また真っ赤だ…。
千尋くんといるとどうしても赤面せずにはいられないから、自分が嫌になる。
千尋くんを前にすると私は心の余裕をいつも失くしてしまうから。
『…顔赤いけど、大丈夫?』
「えっ?あ…うん、大丈夫…。」
当の本人は何とも思っていないのか、私が赤面している理由を熱のせいだと勘違いしている。
千尋くんが鈍感でよかった…、と思った私だった。
「…千尋くん。」
『ん……?』
今まで知らなかったけど、私は意外と甘えん坊なのかもしれない。
『っ……!』
私に背中を向けていた千尋くんの腰に腕を回して、千尋くんの背中にピッタリと抱き着いた。