身長差43センチのふたり。




「っ・・・?」


目の前に差し出されていたお守りが消えて、驚きながら島津さんを見ると、目の前の彼女はニヤッと意味深に笑っていた。


『そんな簡単に返すわけないじゃん。』

「あ――っ!」


島津さんの手におさまっていたお守りは、踊り場の開いていた窓から投げられて姿を消した。

お守りが中庭の茂みに消えていくのを、窓に駆け寄って眺めるしかなかった。


『アンタもあのお守りと一緒。捨てられて終わり。』

「ッ―――」


お守りを渡したとき、ありがとうと言ってくれた千尋くんの笑顔が歪んで見えた。

ウソだったの?

あの時の告白も、期末テストで頑張ったことも、クリスマスデートも、何もかも…私だけが本気だった?

私に向けるあの笑顔は全部偽りだった?

クラゲのストラップも、ミサンガも、お守りも…千尋くんにとっては全部いらないものだった?


『だからもう――ちょっと!?』

「っ――!」


何も聞こえなかった。

島津さんの牽制も聞かずに、私は階段を駆け下りた。