身長差43センチのふたり。




私から千尋くんに別れを告げろっていうの?

こんなに好きなのに?――どんな顔で言えばいいというの?


『千尋は優しいから言えないだけ!アンタが可哀想だって、いらない責任感じてんの!そんなことも分からないの!?』

「――っ」


信じたくない。もう聞きたくない。

それなのに、島津さんの言葉を違うって否定できない私がいる――。

千尋くんは、本当に私に想いはないの?――その疑問は、島津さんが差し出したもので確信に変わってしまう。


『何で私がこれを持ってるか分かる?』

「ッ……。」


島津さんの白い手に収まっている青いお守り。

私が千尋くんに渡した、太宰府天満宮の学業守り。

なんでこれを、島津さんが…っ?


『いらないからあげるって、くれたの。千尋が、私にね。』


想像したくもなかったことが、現実になっていく。

昨日の放課後、千尋くんとのことを楽しそうに話してくる島津さんは、傍から見れば可愛らしい恋する乙女なんだろう。

でも…私には、ただの悪魔にか見えなかった。


『これで分かったでしょ?千尋はアンタのこと、何とも思ってないの。…っつーか、これいらないから。』


アンタが千尋にあげたものなんて、気持ち悪すぎていらない、と差し出されたお守り。

それを取ろうと手を伸ばして、お守りに触れようとした瞬間、バッと島津さんがお守りを握りしめた。