「何ですか…?」
連れてこられたのは、人があまり来ない階段の踊り場だった。
こちらに振り返った島津さんは、心なしかさっきよりも私に対する殺気が増した気がする。
……怖い。今度は一体何を言われるの?
『いつになったら千尋と別れてくれんの?』
「っ……!」
『いつまでも千尋の周りをウロチョロしないでくれる?マジ目障りだから。』
心が抉られるように痛い。
どうしてこの人は私にこんなに攻撃してくるのだろう?
千尋くんに言えばいいのに。千尋くんに言えば…、そう――千尋くんに言われたら、私だって潔く身が引けるんだ。
「嫌です…。」
『は…っ?』
「千尋くんから"別れたい"って言われない限り、嫌です…っ!」
『ッ……それが目障りだって言ってんのッ!』
首を振って嫌だと訴えれば、今まで聞いたことのような金切り声で怒鳴られた。
あの綺麗な島津さんが、肩を震わせて、眉間にしわを寄せて怒ってる――。

