――翌日、外は雪になりきらない雨が断続的に降り続いていた。
「…トイレ行ってくるねー。」
『うん、おっけー!』
昼休み、教室で華ちゃんとお弁当を食べ終えた私は、5時限目が始まる前にトイレに行こうと席を立った。
窓際の席で久松くんと一緒にいる千尋くんの方には向かないように教室を出た。
「はぁー…。」
1人になるとどうしてもついてしまうため息。
千尋くんと離れると決心したくせに、いざ千尋くんと離れると寂しくて寂しくて。
千尋くんのそばにいたい。千尋くんに私の醜い姿は見せたくない。そんな矛盾した想いが心の中で暴れていた。
『ちょっと、』
「っ……!?」
ちょっと崩れていた髪型を整えてお手洗いを出ると、入口近くで立っていた人物に呼び止められた。
棘のかかった声に振り向けば、そこには私を睨む島津さんがいた。
っ…何でこんなにこの人と会うんだろう…っ
島津さんの顔を見ただけで、千尋くんと島津さんの後姿が浮かんでくる。
『話があるの。』
有無を言わせない雰囲気を醸し出した島津さんが怖くて、私は無言で彼女の後に着いて行った。

