『"太宰府天満宮"…?どこにあるの?』
「福岡。」
『えっ、高遠福岡行ったの!?』
「いや…お土産でもらった。」
始業式のことを思い出す。
朝、いつものように駅の改札前で待っていたら、小走りで寒さで頬を赤く染めてやってきた雛乃から渡された学業守り。
学業成就で有名な神社で買ったから、ご利益あるんだよってにこやかに教えてくれた雛乃を思い出して、心が締め付けられた。
『へー…。誰から?』
「…彼女だけど。」
『ふ~ん…。』
さっきまで手は動かさずに口だけを動かしていた島津が、それっきり何も言わなくなった。
数分後、原稿を書き終えてコピーしに行こうとすると、先にトイレに行ってくるー!と島津が図書室から出て行った。
…とりあえず、印刷室に行っておくか、と俺は原稿用紙を手にして図書室を出た。

