久松の言葉に納得できたような、納得できなかったようなモヤモヤな気持ちを抱えたまま、放課後を迎えた。
雛乃が誤解しているのなら早くその誤解を解いたほうがいい。
雛乃とまともに話せないなんて…、辛すぎるんだよ。
『雛乃。』
「っ、…千尋くん…。」
帰り支度を終えて雛乃の席に行って声をかけると、雛乃がビクリと体を震えさせた。
朝もこんな感じだったな…。そういえば、昼休みの時も。
なんだか雛乃は俺に怯えているような気がする。
控えめにこちらを見上げて気まずそうにしている雛乃に心が痛んだ。
『一緒に帰ろ、な?』
「っ……」
雛乃が俺を怖がらないように、なるべく優しいトーンで話しかける。
「……うん、分かった…。」
『!』
数秒沈黙が続いて、コクリと小さく縦に揺れた頭を見て、安堵した。
これで雛乃の誤解が解ける。
――そう思っていたのに――…、

