身長差43センチのふたり。




『逃げられる前にしっかり手ぇ握っとけって言ったよな?』

「……。」


覚えてる。

食堂で、えらく真剣な表情を浮かべた久松が俺に言った言葉。

あの時よりも、今の方が久松の言葉が俺の心に深く刺さった。


『お前…小日向に誤解されるようなことしたんじゃねーの?』

「誤解?……誤解ってなんだよ?」

『まぁ…、あらかた想像できるだろ。』


当たり前のように言う久松に、俺は苛立ちを募らせる。

それが分かんねーから聞いてるんだろーが…!

いつの日か、"千尋くんって鈍感だよね"と苦笑いを浮かべた雛乃に言われたことを思い出した。


『あーもう、お前って面倒くせー。』


うるさい、早く教えろ、と目で訴えると、久松ははぁーとため息をついて持っていた箸をおいた。


『小日向が誤解してお前を避ける理由なんて、1つしかないだろ。』

「なんだよ?」

『浮気だよ。うーわーき!』

「…は?」


うわき…?浮気って…あの浮気か!?