――朱莉との楽しい3日間はあっという間に過ぎていった。
1日目は東京のお土産を2人で買いに行って、2日目には東京ディズニーランドに行って、気づけば朱莉が福岡に帰る最終日を迎えた。
「出発っていつだっけ?」
『んーっとね~…、2時10分やって。』
「あ、じゃあ、あと20分はあるね。」
東京駅の改札前で、東京のお土産を両手にいっぱいぶら下げた朱莉と談笑。
今度はいつ福岡に帰ってくるの?とか、今度は福岡で会おうね、とか、早くも夏のことで話を膨らませていた。
『…あのさー、雛乃。』
「ん…?」
名残惜しさで2人とも口を閉じたとき、朱莉が神妙な面持ちで顔を上げた。
いきなりどうしたんだろう。
こうゆう真剣な顔はあまり見たことないからか、少し嫌な予感がした。
『――和樹のことなんだけど。』
「っ……!!」
"和樹"
3年前、もう2度と聞きたくないと思った名前。

