『あっ、これあの時撮ったやつ!』
部屋に入った朱莉は、開口一番に私の勉強机に飾っていた写真立てに飛びついた。
私が東京に行くときに地元の友達皆で撮った写真。
『懐かしー…!ふふっ、皆幼い顔してる~!』
「ねーっ、もう3年前のことやしね。」
あの時、わざわざ博多駅まで見送りに来てくれた皆の別れ際の涙が頭に浮かぶ。
笑顔で別れようって言ってたのに、最終的には皆で号泣したんだっけ…。
当時は思い出しただけでも涙がこぼれていたけど、今はそれもいい思い出。
昔も今も、私は良い人たちに囲まれて恵まれていると思う。
ガチャッ
『お茶淹れたよ~。』
「あっ、ありがと!」
2人で写真を見つめて思い出話に花を咲かせていると、お盆に2人分のお茶と通りもんを乗せたお母さんがやってきた。

