『雛乃はその千尋くんって人のことが、大好きったいね~っ!』
「っ…その、声が大きいって…!」
気づけば私のマンション前。
朱莉は無駄に声が大きいし、よく通る声質をしているんだから、そんなに堂々と言わないでほしい。
下手したら、家にいるお母さんとお兄ちゃんに聞こえちゃう。
『そんな照れなさんなってぇ~』
「ほっ、ほら着いたよ!」
『えっ、もう?』
私をからかっていた朱莉は、驚いたように私のマンションを見上げた。
ここが雛乃の新居かぁ~なんて、しみじみと言う朱莉の腕を引っ張って、私はマンションの中に入った。

