『雛乃は相変わらず小っちゃかねぇ~!』
「あっ、バカにしとるし!これでも1センチは伸びたっちゃけんねっ」
『プッ、1センチだけかいな…!』
頭を撫でられて、キッと隣に立つ朱莉を睨むとあははっと笑われた。
全くもう、相変わらず子ども扱いしてからに!
「どうやったらそんな伸びるんか、教えてほしいよ…。」
『雛乃の場合、別にそのままでもよくない?可愛いやん。』
「えー…?でもあと10センチ、いや…20センチ欲しいなぁ…。」
160くらいあれば、千尋くんの見ている世界とちょっと近づけるかもしれないのに。
私と千尋くんが並んで、周りからは兄妹じゃなく、恋人に見られるのかもしれないのに。
『?…雛乃、何かあったん?』
軽いつもりで呟いた言葉にも反応してくれる朱莉はさすがだと思う。
私のちょっとした変化も朱莉は一度だって見逃したことはないんだから。
――そう、あの時も。

