地下鉄のホームで私達が乗る電車を待っていると、人をぎゅうぎゅう詰めに詰め込んだ電車がやってきた。
『うわ…。これ、ウチら入れると…っ?』
目の前で停車する電車に引きまくっている朱莉に、私は苦笑い。
私も最初、この満員電車にはだいぶ驚かされたもんな~…。
「大丈夫よ。皆ここで降りるけん。」
『そうなん?さすが首都圏、想像以上だわ~。』
苦言を溢しながらも、初めての満員電車を楽しんでいるようだ。
東京に着いた時から目をランランとさせている朱莉を連れて、停車時よりかは人混みが解消した電車に乗り込んだ。
「…朱莉、また背伸びた?」
人は減っても、電車のイスには座れない。
厚底ブーツを履いているのもあるかもしれないけれど、3年前よりも朱莉を見上げる角度が大きくなった気がする。
『まーねー、だって雛乃に合わない間に5センチは伸びたしっ』
「ウソやん…。」
朱莉の成長記録に肩を落とす。
もう高2だよ?朱莉はまだ成長する気なの?

