『大みそかから3が日まで福岡に戻っとったんやろ?会いたかったのにーっ!』
東京駅を出て、私の家に向かうために、地下鉄の方に足を進める。
初めての東京に興奮して周りをキョロキョロと見渡しながら、朱莉はちょっと残念そうに言った。
「ゴメンゴメン。ほら、私のおばあちゃん家は太宰府やけんさ、福岡まで遠かろ?それに朱莉、2日は模試があるって言っとったやん!」
『そうなんよーっ、正月なのにあり得んくないっ!?』
久しぶりの再会に、私たちはお互いの近況に花を咲かせる。
正月は福岡に戻っていたけど、地元の友達には会えなかった。
朱莉たちは福岡市内に住んでるけど、私は福岡市から遠い太宰府に帰ったから、福岡で朱莉とは会えなくて。
だから、朱莉が東京に来て2泊3日私の家に泊まることになったんだ。
「で、どうやったん?模試は。」
『…そこ聞く?…できるわけないやーんっ!』
茶目っ気の多い朱莉といると笑いが絶えない。
昔から一緒にいてとても気の知れた仲だから、お互いのツボも地雷も分かり切ってる。
友達というよりも、家族といったほうが近い存在。

