――新年。
『雛乃ーーっ!!』
いくつもの新幹線が集まる東京駅のホーム。
年が明けて、混雑する人ごみの中、白のキャリーバックをゴロゴロと転がし、こちらに走ってやってくる女の子。
「朱莉!」
『久しぶり~~っ!!』
ドンッと言いそうなくらいの勢いで私に飛びつく朱莉は、福岡に住んでいた時の親友。
冬休みを利用して、わざわざ上京してくれたのだ。
「久しぶり!長い時間ご苦労様!」
『何言ってんのっ!雛乃に会うためだったら、こんなもんちょちょいのちょいやってぇ~っ』
えくぼを浮かばせた朱莉の笑顔を久しぶりに見て、気分が高揚する。
場所は東京なのに、朱莉の顔を見ただけで福岡に戻ったみたいだ。

