『俺は、雛乃と一緒ならどこでもいいよ。』
「っ……そう…?」
『あぁ。』
当たり前のように人が赤面しちゃうようなセリフをサラッと言えちゃう高遠くんって、天然の人たらしだと思った。
いつだって私は、高遠くんにほだされてばかりで、ちょっと悔しい。
私も高遠くんを照れさせてみたいと思うけど…そんな高度な難技をすることは絶対無理だ。
『それよりもさ、雛乃?』
空っぽになったお弁当箱を片付けていると、横から掛かった声にお弁当箱のふたを閉める動作を止める。
お弁当箱から高遠くんへと目線を上げると、高遠くんは何かを企んだような瞳をこちらに向けていた。
『ご褒美のことなんだけど、』
「あっ、うん!」
そっかそっか。すっかり忘れてた。
高遠くんが前に言ってた"私だからできること"っていったい何だろう?

