いつもより美味しく感じられたお弁当を食べ終えて、話はクリスマスのことで盛り上がる。


『雛乃はどこに行きたい?』

「え?うーん…。」


いざ、2人でどこか出かけようとすると、中々思い浮かばない。

映画館はもう行ったし…、遊園地?でも私、ジェットコースター苦手だしなぁ…。身長制限もあるし。

東京のデートスポットなんて分からなくて、首をひねって考えあぐねる。

――あ。


「水族館!」

『え…?』

「水族館に行きたい!」


冬だし、そんなにお客さんもいないだろうし。

人混みが苦手な私にはピッタリのデートスポットだと思った。

水族館がいいと言う私に、高遠くんは柔らかい微笑みでいいよと言ってくれた。


「あ、でも…高遠くんは行きたいところとか、ないの?」

『ん?あー…。』


なんだか私のワガママばっかり聞いてもらって、ちょっと気が引ける。だって、高遠くんにも楽しんでほしいから。