『最近の宏太、なんかおかしいんだよね~…。』
「おかしいって?」
頬杖をついて、グラスに入ったリンゴジュースをストローでかき混ぜる華ちゃんに、私もケーキを食べていた手が止まる。
カランカランッ、と氷がグラスにぶつかる音が妙に大きく響いた。
『私との距離が異様に近いっていうかー…、昨日もね?一緒に帰ってたとき、寒いって言ったら手繋いできたし、一緒に勉強した時だって、何かとちょっかいかけてくるしさー…。この前なんて、私の手がちっさいとか言って、手握ってきたんだよ!?』
「へ、へぇ~…そうなんだ…。」
溜め息交じりにそう話す華ちゃんを前に、私は高遠くんとのことが脳裏によぎる。
それって……私と高遠くんがしてたこととよく似てない…?
『私は嬉しいけどさ、宏太が何を思ってそんなことしてくるのか分かんないから…、なんかちょっと空しいっていうか…遊ばれてるだけなんじゃないかとか、考えちゃってさぁー…。』
眉を下げて口を尖らせたまま思い耽っている華ちゃんをもどかしく思う。
多分、最近の久松くんの華ちゃんに対する態度は、きっと華ちゃんに自分の気持ちを遠回しに伝えてる裏返しなんだと思う。
久松くん…口下手っぽいし。
「…華ちゃんさ、一回聞いてみたら?」
『え?』
「私のことどう思ってるの?って聞いてみたらいいじゃん。」
『っ……!』
カランッ、と氷同士がぶつかる音がして、目を丸くしている華ちゃんと視線が重なった。

