「うん…。島津さんが教室に来て、高遠くんと楽しそうに話してるの見てね、…嫉妬、しちゃってさ…。」
『うわ…、なんてベタな…。』
口を押さえて目を丸くしてこちらを見る華ちゃんに、私の顔は俯いていく。
そう言われると思ったから嫌だったのにー…。
でもここまで言ってしまったら、続きを言わないわけにはいかない。
「そのヤキモチを隠し切れなくて…、泣いちゃったの。」
『えぇっ!?』
あれから時間が経って思い出してみると、あの時のシチュエーションはまるで少女漫画のような世界。
あの時の私は目の前で起こった現実に振り回されていて、心が感じたままに体が動いちゃってた。
あそこで泣くなんて…、私はなんて弱虫なんだろう。
「そしたら、高遠くんが慰めてくれて……好きって言ってくれたの。」
『ふ~ん…。まぁ、キッカケは雛乃ってことか。』
「う――えっ?」
頷きかけて止まる。
キッカケって…?何のキッカケ?
一通りの件を聞いて満足したのか、華ちゃんは脇に置いていたお皿を目の前に移動させて、ケーキを食べるのを再開していた。

