「可愛くなんて…!」
『そんなこと言われたらさー…、頑張らないわけにはいかないじゃん?』
「っ、」
頬杖を突きながら流し目でこちらを見る高遠くんにときめかないわけがなかった。
どうしよう…どんどん高遠くんの虜になっちゃう。
心が高遠くんでいっぱいになって、なんだか勉強に手が回りそうにない。
『俺が英語で良い点取ったらさ、ご褒美くれる?』
「えっ?……ご褒美?」
うん、と頷く高遠くんを前に、私はちょっと考える。
高遠くんには頑張ってほしい。だって、やっぱりクリスマスは高遠くんと過ごしたいんだもん。
私からのご褒美で、高遠くんが頑張ってくれるなら――…、
「いいよ。」
『本当に?』
「うん。…私でできることなら。」
『雛乃にしかできないことだから。』
「?うん…?」
どうやらやる気になってくれた高遠くんにちょっと嬉しく思いつつもご褒美の内容が気になる私。
「ご褒美って何?」
『それは後でのお楽しみ♪』
何度聞いても、高遠くんはそう言ってはぐらかすので、諦めて私も数学の勉強を始めた。

