――ふにっ
「ふぇっ?」
恥ずかしさでいたたまれなくなってそっぽを向いていると、膨らんでいた私のほっぺが高遠くんの大きな右手で軽くつままれた。
本当に弱い力だから、痛くはないんだけど――…、
「ふぁ、ふぁかとーくん…っ?」
『何その可愛さ。ほんと何なの?』
「えぇっ…!?」
私の頬をつまんだままの高遠くんを見上げると、ほんのり頬を赤く染めながら、私を見つめていた。
可愛いって…可愛いって…!
『クリスマス、俺と過ごしたいんだ?』
「っ…!」
次の瞬間、ニヤッと口角を不敵に上げた高遠くんに、私はちょっと嫌な予感。
この顔…最近よく見る顔だ。私をイジメようとする時の顔。
どんな高遠くんも好きだけど、この時の高遠くんは遥かに私の心を掴んでいくんだから太刀が悪い。
「…補習のせいで高遠くんと一緒にいられないなんて、嫌だもん…っ」
『クスッ……可愛い。』
私の頬に触れていた手が離れて、ちょっと残念に思ってしまった。

