『もう来週テストとか、ダルい…。』
ボソッと、通学カバンから地理のテキストを出した高遠くんが嫌そうに呟く。
私も筆箱と数学のテキストとノートを机の上に広げた。
「そうだね。でも、このテスト終わったら冬休みだよ。」
『まーなー…。』
「高遠くんは、この前の中間テストどうだったの?」
『……え、それ聞く?』
ピタッと動きが止まって、私のほうに顔を向けた高遠くんに、私も首を傾げて見上げた。
私…何かおかしなこと聞いたかな?
パチパチ、と瞬きをする私に、フッと笑った高遠くんが口を開いた。
『……英語、赤点だったんだよ。』
「えぇっ!?」
『次も赤点取ったら補習なんだよな~…。』
高遠くんが英語ニガテなのは知ってたけど…、赤点取るまでとは知らなかった。
しかも、次も赤点取ったら冬休みに補習だなんて、レベルが華ちゃんと同じ。
高遠くんが補習になっちゃったら、クリスマス一緒に過ごせないってこと…っ!?
「高遠くん!地理なんか後回しだよ、英語しなきゃ!」
『あっ!』
ヨーロッパの地形を写している地図帳を眺めている高遠くんから、私はガバッとその地図帳を取り上げた。

