――『雛乃ー!』
放課後。
私の席にやってきたのは華ちゃん。後ろに久松くんもいる。
『今日、私は宏太と帰るけど…、』
「あ、うん。大丈夫だよ。」
昼休みは5限目が始まるギリギリにしか教室に帰れなくて華ちゃんとは話せなかったけど、授業の合間の10分休みにちゃんと話したから、華ちゃんはとてもニコニコだ。
自分のことのように喜んでくれる華ちゃんに、私はとても感謝の気持ちでいっぱいだった。
華ちゃんがいなければ、私はずっと高遠くんを遠くから見ているだけで、こんなふうに高遠くんと付き合うことも、仲良くなることだってできなかったはずだから。
「高遠くんと勉強して帰るから。」
『ふ~ん…嬉しそうじゃない?雛乃~!』
「えっ!?そ、そうかな…っ?」
悪ノリしている華ちゃんと一緒にうんうんと頷く久松くんから、視線を逸らす。
そんなにからかわないでほしい。
昼休みも高遠くんにからかわれたばかりなんだから。
『あんま雛乃をいじめないでくれる?』
「っ…高遠くん!」
突如ポン…ッと頭に軽く乗っかった大きな手に反応して後ろを振り返ると、そこには鞄を持った高遠くん。

