『――お返し。』
「っ!」
差し出された卵焼き。
高遠くんの箸でつままれた卵焼きが、唇にピトッとくっついて、おもむろに口を開いた。
『どう?』
「――美味しい、です。」
『だろ?』
高遠くんからもらった卵焼きは甘くて。
モグモグと卵焼きを食べながら、見上げた高遠くんの横顔は、いつもよりちょっぴり眩しく見えた。
あーんしてもらって食べる卵焼きも、悪くない。
『今日、一緒に帰る?』
「うんっ…あ、でも、ちょっと勉強して帰ろうかな。」
『……じゃあ、俺も。』
一緒に残ってくれるの?と言うと、当たり前のように頷いてくれた高遠くんに、自然と頬が緩まるのを抑えられなかった。

