身長差43センチのふたり。




ガララッ…


気まずい教室から逃げてやってきたのは、普段使われていない空き教室。

穴場だから、と高遠くんに言われてきた教室は、毎日掃除されているからかホコリ一つなかった。


『ゴメンな、雛乃。大丈夫か?』

「う、うん…っ!」


教室の電気をつけて、暖房のスイッチを入れた高遠くんと一緒に、ドア近くの席に隣同士で座った。

はぁー…、驚いちゃった。

あっという間に、皆にバレちゃったな…。

予想以上の出来事を前に、私はボーっとしてしまう。


『あとで鳩村に強くお灸を据えておくから。』

「ううんっ、だっ、大丈夫だよ…!」

『……そう?』


心配そうにこちらを見下げる高遠くんに、私はコクンと頷く。

驚いちゃったけど、嫌ではなかった。

いつかはバレちゃうことだし…ね。

だから、キッカケを作ってくれた鳩村くんには、逆にちょっと感謝だ。


『雛乃がいいなら、いいけどさ。』


そう言って、ちょっと納得してくれない様子を見せながらも、鳩村くんから手を引くと言う高遠くんに笑みを浮かべた。