ガララッ…
気まずい教室から逃げてやってきたのは、普段使われていない空き教室。
穴場だから、と高遠くんに言われてきた教室は、毎日掃除されているからかホコリ一つなかった。
『ゴメンな、雛乃。大丈夫か?』
「う、うん…っ!」
教室の電気をつけて、暖房のスイッチを入れた高遠くんと一緒に、ドア近くの席に隣同士で座った。
はぁー…、驚いちゃった。
あっという間に、皆にバレちゃったな…。
予想以上の出来事を前に、私はボーっとしてしまう。
『あとで鳩村に強くお灸を据えておくから。』
「ううんっ、だっ、大丈夫だよ…!」
『……そう?』
心配そうにこちらを見下げる高遠くんに、私はコクンと頷く。
驚いちゃったけど、嫌ではなかった。
いつかはバレちゃうことだし…ね。
だから、キッカケを作ってくれた鳩村くんには、逆にちょっと感謝だ。
『雛乃がいいなら、いいけどさ。』
そう言って、ちょっと納得してくれない様子を見せながらも、鳩村くんから手を引くと言う高遠くんに笑みを浮かべた。

