ふとあるコトを思い出した私は、通学カバンを開けて高遠くんから借りていたマンガ本と筆箱を取り出す。
今日返そうと思って持ってきてたけど、……今返しておこうかな。
筆箱の中からふせんとペンを出して、ありがとう、とふせんに書くと、それをマンガの表紙を開いて気付きやすい場所に貼り付けた。
よし、これで大丈夫。
マンガ本をプリント類の上に置いて、私は眠っている高遠くんの方に振り返った。
眠っている高遠くんは、来た時よりも落ち着いていて、呼吸音も安定している。
熱…下がってきたのかな。
本当は高遠くんのおでこに触れて体温を確認したいところだけど、それをしてしまったらきっと高遠くんが起きちゃうので、そこはグッと我慢した。
もうちょっと高遠くんの看病したいところだけど、帰らなきゃ。
「…お大事に。また学校でね。」
音をたてないように、通学カバンを肩にかけて、ゼリーの入ったコンビニのビニール袋と水が入った洗面器をもって部屋を後にする。

