Tシャツを首から捲って、脇に体温計を挟む高遠くんをあまり直視しないように、私は洗面器の氷水に浸していた濡れタオルを絞る。
熱に浮かれているからか、ちょっと…というかだいぶ色っぽい高遠くんに高まる体温を、冷たい氷水が冷ましてくれた。
ピピッ
「どう…?」
差し出された体温計の画面を見ると、37.6℃の数字。
んー…朝よりも熱は下がったみたいだけど、まだキツイよね。
「まだ熱あるね。…はい、濡れタオルまた冷やしたから。」
体温計と引き換えに、キンキンに冷えた濡れタオルをおでこに乗せてあげると、高遠くんは気持ちよさそうに目を閉じた。
今は喋るのも辛いかな。
早く寝たいだろうし、ゆっくり寝かせてあげようと、今日の差し入れのことを口にする。
「ゼリー買ってきたから、お腹空いたら食べてね。あと、今日の授業のノートとプリントもここに置いとくね。」
コンビニのビニール袋から買ってきたスポーツドリンクを出して、通学カバンからは授業で配られたプリントと、授業でとったノートのコピーを出して簡易テーブルの上に置く。
ゼリーはお姉さんに頼んで、冷蔵庫で冷やしておいてもらおう。
「喉乾いたら、これ飲んでね。…じゃ、私はこれで――っ、」
高遠くんの顔も見れたし、もうお暇しようと高遠くんに背を向けると、左手首をキュッと熱い手で掴まれた。

