「ここ…かな?」
放課後。
差し入れを片手に久松くんからもらった地図を頼りにやってきた私の目の前には、"高遠"と書かれた表札が立つ一軒家。
お、大きい…。マンションの私の家とは大違い…。と圧倒されつつも、呼び鈴を押してみる。
心なしか、呼び鈴を押す右手が少し震えた。
…ピンッポーンッ…
チャイムを鳴らしても、誰も出てくる様子がないほどシーンとしていた。
さ、寒い…と、冬の冷たい風を浴びながら、もう一度呼び鈴を鳴らそうと右手を上げると、ガチャッと目の前の玄関の扉が開いた。
『…どちら様?』
「…っ、」
中から出てきたのは、茶髪のストレートの女の人。
あまりの顔の綺麗さと、高遠くんに似てる高身長の女の人を前に、私は一瞬固まってしまった。
この人が…高遠くんのお姉さん…?
「わ、私っ…あの、高遠くんと同じクラスで、えっと…っ、高遠くんに差し入れを…!」
あまりの緊張に、半分自分が何を言っているのかよく分からなかった。

