『放課後、高遠に差し入れ持って行ってやってくんねぇ?』
「……えっ?」
急にそんなことを言われても、すぐには理解できなかった。
私が…高遠くんに?…さ、差し入れ…っ?
「ひ、久松くんは…っ?」
『俺は今日用事があっていけねーんだわ。な?華。』
『えっ!?…あっ、うっ、うん!そうなの!』
「えっ、華ちゃんも?」
久松くんの笑顔を見た華ちゃんは、首を縦に激しく振っていて、なんだか挙動不審に見える。
でも、病気の高遠くんも心配だし…。
クラスマッチ以降、高遠くんは何もなかったかのように普通な態度だったし、いいかな?とちょっと思う。
「で、でも、…私、高遠くんの家知らな――」
『俺が高遠ん家までの地図送ってやる。』
「えっ?あ、じゃぁ……行こう、かな…?」
なんだか久松くんに押し切られる形で、私が風邪で倒れている高遠くんに差し入れを持って行くことが決まった。

