――「はぁー…っ」
その日の夜。
パジャマ姿の私は、布団の上で壁に背をつき、体操座りをして、それはそれは重い溜め息をついていた。
悩みの種は、今日の廊下での高遠くんの一言。
――"…俺は好きだよ。"
すっかり脳内録音されて、リピートされまくっている高遠くんの表情と声。
それを思い出すたびに、私の心臓は壊れちゃうんじゃないかと言うくらいに暴れて、心も鷲掴みされたかのようにギューッと苦しくなる。
"好き"って……どんな意味があるんだろう。
高遠くんの言ったあの"好き"は、私と一緒?それとも…、ただのお世辞?
心優しい高遠くんならば有り得る、と思ったら、ずーん…と落ち込まずにはいられない。
クラスマッチの決勝戦にも勝って優勝できたのに、手放しに喜べないのは高遠くんの本心が分からないから。
私と華ちゃんの優勝をとても喜んでくれていたクラスメイトの中心で、私は高遠くんのことで頭がいっぱいだった。
おかげで帰り道に華ちゃんとどんな話をしたのかも、家に帰って何を食べたかも、お風呂でどのくらいの時間湯船に浸かっていたのかも忘れてしまった。

