勉強しているものの、暑さのせいもあり集中力が続かない。
机に頭を伏せて窓の外に目を向ける。
緑のネットを挟んだ向こう側では、野球部やサッカー部の人たちが部活をしていて、姿は見えないが声は聞こえる。
その声を聞きながら空の雲を数える。
するといきなり先生が入ってきた。
わたしは慌てて顔を上げて教科書を見る。
「小松、おまえ今日は帰れると思うなよ?」
先生は笑顔で大量のプリントをわたしの前の席の机に置いた。
「問題集コピーしてきたから活用してしっかり勉強して下さいよ小松依莉(こまつえり)さん?」
顔は笑っているが言葉が刺々しい。
わたしはいつになったら帰れるのだろうか。
一週間前から始まった放課後の勉強は、一応先生が現場監督をしてくれているがほとんど部活に行っていていないことが多い。
いないと思ってサボっていると丁度先生が教室に入ってくる。
なんでこうもタイミングが悪いのか。
